母(85歳)が、カテーテルアブレーション治療のため入院したのが、今年の2月半ばでした。
認知症を患った母の受診した日に入院する時は、先生から「娘さんは術前術後の3日間は付き添ってください」と言われていました。
結局私は、母を一人で入院させることで【せん妄】がまた出て認知症が酷くなることを想定し、3日間と言わず、毎日付き添うことを、入院当日に主治医の先生に相談しました。
「それはいいですね。こちらも助かるし、お母さんも安心でしょう。是非そうしてください。」
と言われ、入院中は母に付き添っていました。
カテーテルアブレーション治療が、入院した心臓と、全身の状態で中止になり、治療方針が変更になり、【安静・塩分制限・利尿剤】で入院5日目に、心房細動が自然停止し、それと同時に洞不全症候群が発覚!
心臓カテーテル検査で、冠動脈に目立った狭窄も見られず、狭心症はないとの結果で、ペースメーカ植え込み術を、入院14日目に施行が決まりました。
そこで、今回はペースメーカ植え込み術について、治療方法と術後の生活での注意点などをまとめてみました。
ペースメーカ植え込み術
日本では、毎年約60,000もの方がペースメーカ植え込み手術を受けられてます。
母もその一人、令和2年3月にペースメーカ植え込み術をしました。
入院して、新たに【洞不全症候群】が発覚、6秒間も脈が止まってます。
この時は、私も近くにいたのですが、ベットの上にいたからわからなかったのですが、症状的には呼吸困難、胸部不快感等、失神などがあるのですが、一番怖いのは失神です。
失神して、倒れて頭を打って、頭部強打や脳出血、硬膜下血腫等があり、折角いい状態になってきている母、ペースメーカ植え込み術を施行し以前のような生活に戻って欲しい!と思ってます。
朝8時48分47秒迄は、心房細動で頻脈だったのが、8時48分59秒に6秒間脈が止まっています。
これが【洞不全症候群】です。
8時49分11秒からには、不整脈が止まっていて、それから不整脈は見られていません!
ペースメーカとは?
ペースメーカとは、心筋に電気刺激を与えることで必要な心収縮を発生させる医療機器です。
心臓の徐脈性不整脈を監視して治療するように設計されていて、ペースメーカは本体とリードから構成されてます。
本体(ペサーorパルスジェネレータ) →心臓の電気信号を感知する。
電線(リード) →電気刺激を伝える。
ペースメーカ本体とリードを接続することで初めて治療が可能となります。
また、ペースメーカの本体は表面がチタンの金属で覆われ、内部には長時間の作動を維持するための電池と、頭脳である制御回路でできています。
ペースメーカ本体に接続された電線を介して、心臓の電気信号を24時間監視し、心臓リズムを整える場合は、電気刺激を送って治療を行います。
ペースメーカの種類
電気刺激を発生する装置、ペースメーカ本体をジェネレーターといいます。このジェネレーターに電線を接続し、先端を心臓に接触させペーシングします。この電線をリードといいます。
①体外式(一時的)ペースメーカ
本体(ジェネレータ―)を体外に出して、電線(リード)のみが体内から心臓に入っている。
体外式は感染などの問題から長期間の留置はできず、一般には1週間が限度です。
比較的簡単な手技で、緊急時、永久ペースメーカ埋め込みまでのつなぎで使用します。
②植え込み型(永久)ペースメーカ
本体(ジェネレーター)を皮下に埋め込む方法。
電池寿命が10年以上あり、皮下に留置するため、1~2時間の手術が必要です。
体内に留置するためにに日常生活が可能です。
※それぞれ専用のジェネレーターとリードを使用します。
ペースメーカの治療方法
ペースメーカ植え込み術には、鎖骨の下の胸部に植込む方法と、おへその左上の腹部に植込む方法の2つがあります。
- ①胸部に植込む方法
- 現在一番多く行われている方法です。
- 鎖骨下静脈(多くは利き腕の反対側)を通して、レントゲンで透視しながら心臓の右心房、または右心室へ挿入します。
- 手術にかかる時間は約1~2時間ほどです。
- 皮膚を切開する長さは約4~5cmほどです。
- 皮下にペースメーカが入る小さなポケットを作り、鎖骨の下へ走っていく静脈に沿ってリード線をレントゲンのテレビを見ながら心臓の中に挿入し、心臓の内壁にリード線を接触固定します。
心臓側のリード線の反対側とペースメーカを接続し皮下のポケットにしまって、切開した皮膚を縫合して手術は終わりです。
部分麻酔で行う手術ですので手術後はすぐに歩行も食事もできます。 - ②腹部に植込む方法
- 全身麻酔を施し、胸を開けて(開胸手術)心臓の右心房、右心室の心筋壁に直接リード線を取り付けます。ペースメーカは左上腹部に植込みます。
他の心臓手術と同時にも行うことができます。
ペースメーカ植え込み術後の経過
手術時間は1~3時間、術後の安静は2時間程度ですので、遅くとも当日の夜にはベッドから離れて歩くことができます。
ただし、肩よりも上まで植え込み側の腕を上げるバンザイのような姿勢は、植え込み後1~2か月間は控えた方がよいでしょう。
術後の合併症は出血、感染、気胸(肺が縮む)、心タンポナーデ(心臓周囲への出血)、リードの移動などがありますが、重篤なものはまれです。
退院後日常生活の注意点!
ペースメーカは医療環境外で動作を続ける装置であるため、生活圏を飛び交う様々な電磁波による電磁干渉の影響をうけて動作に異常をきたす恐れがあります。
退院時に臨床工学技士の先生が病室で、ペースメーカの設定とチェック、生活上の注意点を詳しく説明していただきました。
日本メドトロニックの【条件付きMRI対応ペースメーカ】です。
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ペースメーカに影響を与えるもの
【一般的な家庭用電気機器】
大部分は、漏電などがなく正常に作動しているものであれば使用しても問題ありません。
電気機器を修理したりする場合は、ペースメーカに予測外の影響を及ぼす恐れがありますので、身体の異常(めまい、ふらつき、動悸など)に注意して下さい。
※IH調理器、IH炊飯器、電動工具を使用する場合はペースメーカ本体に近づけないで下さい。
【医療機器】
MRI(磁気共鳴画像診断装置)やリハビリ科で使用する超短波装置など、医療機器には強力な電波、磁力を発生するものがあります。
通常これらの場所には入室・使用の可否についての表示があります。
また、医療機関の窓口でも情報をもらうことができますので、受診する際は相談の上指示に従って下さい。
※ペースメーカの種類により一定の条件の下、MRI検査が可能です。
【治療機器】
磁気治療器、医療用電気治療器など、体に通電したり、強い電磁波を発生する機器は使用しないで下さい。
磁気マット、磁気ネックレスなどの磁気治療器を使用するときは、ペースメーカー植込み部位の上に近づけることは避けて下さい。
身体に異常を感じた場合は使用を中止し、異常が回復しなければ、直ちに医師の診察を受けて下さい。
【通信機器】
携帯電話、PHS、コードレス電話を使用、通話、携行する場合は、ペースメーカの植込み部位から15cm以上離して下さい。
携行の際十分な距離が取れないときは電源を切ってお持ち下さい。
身体に異常を感じた場合、直ちに使用を中止し機器から離れて下さい。
もし身体の異常が回復しなければ、直ちに医師の診察を受けて下さい。
小型無線機(アマチュア無線機、パーソナル無線機、トランシーバー)は、ペースメーカに影響を及ぼす可能性が高いため、使用しないで下さい。
【大型機器】
発電施設、レーダー基地、各種溶接機、誘導型溶鉱炉などは強い電磁波がペースメーカの作動に影響を及ぼし、場合によっては失神等を起こすことがあるため、絶対に近づかないで下さい。
知らずにこれらの機器や場所に近づき身体の異常を感じた場合は、直ちにその場から離れて下さい。
異常が回復しなければ、直ちに医師の診察を受けて下さい。
【磁石について】
磁石または磁石を使用したものをペースメーカの植込み部位の上に置いたり、胸ポケットに入れることは避けて下さい。磁気がペースメーカの作動に影響を及ぼす恐れがあります。万が一ペースメーカーに磁石を当ててしまった場合には、直ちに取り除いて下さい。ペースメーカの作動は元に戻ります。もし身体の異常が回復しなければ、直ちに医師の診察を受けて下さい。
【全自動麻雀卓など】
全自動麻雀卓など、使用中に常時強力な磁気を発生する機器での遊戯は避け、機器には近づかないようにして下さい。磁気がペースメーカの作動に影響を及ぼし、失神等を起こす恐れがあります。身体に異常を感じた場合、直ちに使用を中止するか機器から離れて下さい。もし身体の異常が回復しなければ、直ちに医師の診察を受けて下さい。
店舗や図書館に設置されている電子商品監視機器=EAS(盗難防止装置など)からの電磁波がペースメーカに臨床上重大な影響を及ぼすことはないと考えられますが、安全性確保のため、中央付近を速やかに通り過ぎるようにし、機器に寄りかかったり近づき過ぎないようにして下さい。
またEASは分からないように設置されていることがありますので、出入り口では立ち止まらないようにご注意下さい。
定期健診
ペースメーカは様々な機能を状況に合わせて自動で調整する機能を備えています。
それでも、すべてが自動的に動くわけではなく、患者さんの状態に合わせて動くためには、定期的な管理は欠かせません。
通常は3ヶ月~半年に1回の割合で、ペースメーカの植込み手術をした病院もしくは経過観察を行なう病院にて検査を行います。
最近では遠隔診断機能を備えたペースメーカがあり、家庭において診断を受けることもできるものもあります。
ペースメーカシステム(本体と電線)はペースメーカ本体に内臓された電池で動いています。
電池は突然無くなることはありませんが、電池の減り具合について定期的に調べる必要があります。
また、その他にも患者さんの状態に応じてペースメーカの設定を変更したり、リード線の状態を確認しなければならないので定期的な検査は必ず受けて下さい。
なお、検査中は一時的にペースメーカ本体の機械の設定を変えることがあります。
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ペースメーカ手帳
ぺースメーカ植込み手術後、患者さんには「ペースメーカ手帳」が渡されます。
【記載内容】
①医療関係者へのお願い(他科での受診の際)
②個人ID情報、緊急連絡先
③ペースメーカ治療病院や連絡先など
④ペースメーカの種類や植え込み情報
⑤安全上の情報
⑥安全上の注意
⑦ペースメーカ治療の通院記録(管理記録・治療記録)
⑧ペースメーカ本体装置の設定。電池やリードの状況
⑨他国語(英語,フランス語,イタリア語,ドイツ語,スペイン語など)にてぺーシングシステムが埋め込まれている事
この手帳には患者さんの個人情報のほか、患者さんの心臓の病気、手術を受けた病院、定期検診を受けている施設と担当医師の氏名、植込まれたペースメーカに関する詳細な情報などが記入されています。
また、その後のペースメーカに関わる通院記録として担当医師は治療過程などの必要事項をこの手帳に記入することになりますので定期検診の際は必ず持参して下さい。
患者さんがペースメーカーを使用していることを10ヶ国語で記載してありますので、外出や旅行の際にも常時携帯し、いつでも提示できるようにして下さい。
特定医療機器登録制度(医療機器トラッキング制度)について
1995年7月以降に体内に植え込まれ、生命維持に直接かかわる特定医療機関について、当初予期することができなかった不具合(故障や不良を含み、期待される性能を発揮しないこと)が発見された場合、その医療機関に関する安全情報が速やかに、かつ確実に製造販売承諾取得者(製造販売事者など)から患者さんと担当医師に提供されることを目的とした制度です。
この制度の利用は患者さんの自由意思となってますが、同意が必要になります。
また、この制度を利用して登録した場合、ペースメーカシステムや患者さんに関する一部の医療データは、その製造販売承諾取得者(製造販売業者など)にも保管されることになりますが、薬事法および個人情報保護法により、個人の医療データを守ることが義務付けられています。
身体障害者の認定について
ぺースメーカを植え込んだ患者さんは、身体障害者福祉法に定められた、身体障害者の認定を受けることができます。
患者さん自身の申請により身体障害者の認定を受けることができます。
所定の申請用紙に必要事項を記入の上、身体障害者福祉法が定める指定医師(通常各病院に1~2名います)が作成する身体障害者診断書を添付して、各都道府県の福祉事務所に提出して下さい。
審査により1~3級の認定を受けると、身体障害者手帳が交付され、医療費の一部還付または全額免除を受けることができます(一部高額所得者を除く)。
手続き方法や内容が地方自治体によって異なりますので、詳しくは患者さんが居住する地域の福祉事務所や入院された病院の相談窓口にお尋ね下さい。
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